階段と踏台のデザイン

photo(C)笹倉 洋平/笹の倉舎
春に竣工したhouseSYの細かい部分のデザインをご紹介します。
以前ブログでも書いたインナーテラスの階段はトップライト(天窓)からの光が1階まで届くように「エキスパンドメタル」というメッシュ状の材料を使って作っています。厚みなどを調整したため、見た目とは違いやわらかい踏み心地です。塗装はせずに錆び止め効果のある溶融亜鉛メッキにドボンと漬けた仕上げで、荒いキラキラとした仕上がりです。

この住宅はスキップフロアのように各スペースごとに床に段差があり、踏み台も設計しています。
これは玄関からホールに上がる踏台。階段と材料を揃えました。
置いてあるだけで移動できます。5kg弱。軽すぎると登る時に動いて危ないためうまく設計する必要があります。
右にちらっと見えているカーテンはファブリックスケープさん製作の見る角度によって色が変わるカーテン。レースで軽い印象ですが、夜でも透けない魔法のカーテン(笑)。この住宅では間仕切りとして使わせて頂いています。

こちらはリビングとダイニングを繋ぐ踏み台です。熟練した職人さんがエキスパンドメタルの網ひとつひとつ溶接して下さっています。
溶接は熱で材料が曲がったりふくれたりしますので、技術が必要です。既製品にはない柔らかな印象のものが出来上がりますので、私たちはなるべく既製品ではないもので作っていきたいと考えています。
エキスパンドメタルは厚みと編目の大きさに多くのバリエーションがあり、難しいですがおもしろい材料です。

こちらはウォークインクローゼットとバスルームを繋ぐ踏み台。床の隙間からも踏み台越しにも1階が見えます。
今後、他のディテールもご紹介していきたいと思います。
momma
houseSY 竣工

houseSYは竣工写真撮影、オープンハウスを終え、無事に引渡し致しました。
クライアントご家族、工事関係者の皆様、設計協力事務所の方々には多大なご尽力を賜り心より御礼申し上げます。
良いチームで取り組めたことで、素晴らしい竣工となり本当にありがたく思っております。
また、オープンハウスでは想定以上の多くの方にお越し頂き、貴重なご意見を頂き感謝の気持ちでで一杯です。過去に設計したクライアントさまにも遠方から来て頂けたりと本当にありがたい一日でした。
さてこの住宅は、長屋が建ち並んでいた細長い敷地に、1階から2階まで突き抜けて立ち上がる樹木のような壁柱(名称検討中)を短辺方向にランダムに配置した建築です。大工さんが作って下さった杉の角材を束ねた壁柱は重要な耐震壁であると共に、ゆるやかに空間を区切っています。クライアントの希望であった非日常の時間をつくっています。





住宅であってもクライアントのご希望と敷地条件によってそれぞれ全く違うものになります。写真だけ見ると、バスルームもトイレも驚かれることかと思いますが、クライアントとの打合せの中、皆で導きだしたこの住宅に、これから楽しく住んで頂けたらと思います!
momma
houseSY 現場進捗

前回の建て方ブログからすっかり間が開いてしまいましたが、その後は階段、手摺や板金などの製作金物、アルミサッシ(窓)、照明器具やコンセントスイッチ、設備機器の品番位置、家具など、それぞれの製作図でデザインや納まりなどを最終決定してきました。設計の段階で一度決めるのですが、最後に建築のコンセプトや使い勝手、コストなど総合的に再検討して決定しました。この進め方は、決して好みだけで選ぶのではない設計事務所の仕事ならではだと思います。
この段階までくると経験豊かな職人さんのアドバイスを頂いて進めることも多くなります。写真はエキスパンドメタルで製作した鉄骨階段を工場で試し登りさせて頂いた時のものです。各部材を安全側に作ることは簡単なのですが、デザイン的にもコスト的にも良くないため、設計としてはなるべく小さな部材を使いたいことが多く、今回はたわみ具合を製作過程で確認させて頂いて、補強部材を入れるかどうかというのを決めました。作りながら考えるというとても貴重な機会に恵まれました。

鉄も溶接やメッキでゆがんだりと奥深いですが、綺麗に作って下さっています。今回は製作金物が多く、金物屋さんが臨機応変で大変ありがたいです。

こちらはインナーテラスに植える木を見に行かせて頂いた様子です。最近は実際に植える木を自分たちで探しに行く機会がなかったのですが、今回はクライアント含め皆で決めることができました。

そして今週の現場状況。ガラスも階段も搬入され、塗装工事が始まっています。
オープンハウスもさせて頂くことになり、3月17日(日)を予定しています。詳細は後日お知らせ致します。
momma
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